ファッションの本質を探るワークショップ その5 東西の交流で発達する衣服やデザイン、そして文化



写真は元JIL SANDER のデザイナー uemulo munenoli ブラウス『Linea 』
日本のデザイナーも、こういう表現をする時代が来たのかと感慨深い一枚です。



ファッションの本質を探るワークショップ その4 自分の中の何かが変化するような服
http://guild3.exblog.jp/21219166/
のつづき

ccplus
「着出すときりがないんだけど...笑 これはRICK OWENSのロングカーディガンなのですが、これは上半身と下半身の素材が違うんですよ。で、下半身が身体にまとわりつくような素材で作ってあるんですね。だから、歩くと下の部分だけが身体に張り付いてセクシーな印象になります。もう計算されつくした素材と構造です。パリコレの一流デザイナーの服っていうのはやっぱりスゴいんです。」



竹田
「ほんとですね!」

注 RICK OWENS(リックオーウェンス)
パリコレには珍しいカリフォルニア産まれの異色デザイナー。ストリートと
ラグジュアリーの境界を走る人気デザイナー。かのヴィオネやグレといったバイアスカットの魔術師達に影響を受けた彼のカッティングは美しい。




ccplus
「これはSTEPHAN SCHNEIDER のワンピースです。和服にインスパイアされた服ですね。」

注 STEPHAN SCHNEIDER (ステファンシュナイダー)アントワープ王立アカデミー出身。ひねった解決法で作ったリアルな服で人気のデザイナー。プリントもカッティングも独特かつ、とても美しい。



(竹田ワンピースを着る)



竹田
「ほんとだ!和服っぽいですね。でも可愛いです。不思議な作りですね。」


ccplus
「パッと見ただけでは全然分らないんです 笑 着ると、いろんなところがスゴいことになっている。笑」



竹田
「私、なんて言うか、こういうデザイナーズブランドの服を着ると、もっと、いかにもファッションっぽい感じになってしまうのかと思っていたんですけど、なんだか全然違いますね。」


ccplus
「でしょ!?ここに置いてあるのはベルギーのデザイナーのものも多いんですけど、ベルギーってほとんど流行とか無いんですよ。ずっと似たようなシックな服か、もしくは変わった服なんですね。ショップとかも同じお客さんに向けて、その人の趣味とか体型にあったずっと同じような感じの服を売っていくっていうことが多いんです。そこは、モードの中心地パリから2時間くらいの位置関係というのも関係しているかもしれません。ほどよく流行から離れているんです。だからいかにもファッション的な嫌らしさが少ないと思います。
それに案外、和服っぽいでしょう!?」



竹田
「ほんとですね、なんかしっくりきます。」



ccplus
「ベルギーのデザイナーは、コムデギャルソンとか日本のブランドの影響を受けたっていうこともあるのですが、そもそも、アントワープっていう都市は、16世紀に東洋との貿易で栄えた都市なんですね。日本とか中国とか朝鮮の生地とか陶器、磁器や家具などを輸入して、アントワープからヨーロッパ各地に商品を輸出していた中心地なんです。だから、街中に東洋のアンティークを売る店がいっぱいあったりするのです。

ほとんど誰も指摘していませんが、北部ネーデルランド出身の世界的な画家、レンブラントとフェルメールは、それぞれ東洋の陶器や磁器の影響を受けて、自身の画風を完成させたのだと思います。
テクスチャーがそっくりですもん。
千利休とレンブラントの関係なんて調べたら、きっと思いもかけない面白いものが見つかると思いますよ。
現在、アントワープのデザイナーとかは、レンブラントやフェルメールに近いことをやっているのかもしれません。

それと同時に、現在日本では、千利休や俵屋宗達みたいなことをやっている人達が居るということなのかもしれません。」

後注
その後、アントワープでは、日本人のデザイナーが、DRIES VAN NOTEN , ANN DEMEUL MEESTER , HAIDER ACKERMANNなど多くのメゾンでデザイナーとして働くことになった。

そして、欧州のメゾンで活躍したデザイナー達が、日本に帰国し、自分自身のレーベルを立ち上げる機会も増えている。

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写真は、メゾン マルタンマルジェラ出身のデザイナー、小野智海氏による『名前の無いブランド』のコートです。
68,250yen(65,000)


(竹田 試着を終えて出てくる。)


竹田
「ありがとうございました。服ってほんと面白いですね、今まで気付きませんでした。」


ccplus
「そうですね、服っていうのは奥深くって面白いのでやめられない。だから今に至ってる感じです。」


後記

私たちが、普通に『東洋』だと思ったり『西洋』だと思ったりしているものって、実は、必ずしも、そうでもないのですね。

ずっと昔から相互に影響を与えている。


筆者が、それを一番感じたのは、ポルトガルに行った時に、首都のリスボンで、ポルトガル人が道ばたで『七輪でいわしを焼いている』のを見た時です。

この経験は、かなり衝撃的で、筆者の世界観を変えたといって良いと思います。

ポルトガル人は、日本に鉄砲をもたらし、結果的に戦国時代を生んだわけですが、日本人がポルトガル人に与えたものは、『七輪でいわしを焼く』ということだった。


おそらく、ポルトガルの人にとって、『七輪でいわしを焼く』というのは、現在では、ごく普通のことになっていると思います。

それは、
ポルトガルで、普通にイワシが取れる。
七輪でイワシを焼くと美味しいとポルトガル人が気付いた。
七輪の炭を生産し続けても、森林が枯渇しない気候だった。

という三拍子がそろっていたから、これがポルトガルの『文化』になったということです。


これが、乾燥していて、森林が少なく、なおかつ魚の穫れない隣のスペイン内陸部だったとしたら、全く定着することは無かったでしょう。


皮肉なことに、近代化によって『七輪でいわしを焼く』という行為は、私たちにとっては『非日常』になってしまいまいたが。。

その一方、日本に戦国時代をもたらした『鉄砲』を銃刀法によって葬り去ったのもまた、日本人の知恵だったと思います。


やはり、人を幸せにするような文化交流をしていきたいですよね。


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写真は当ブログ管理人も開発に携わった日本のブランド『gare』の袖まくりブラウス。
メンズの大きいシャツを縮めてレディースの半袖ブラウスにした1点ものから、パターンを起こし直したもの。
後にアントワープのデザインデュオ A.F.VANNDEVORSTが真似して作ってます。
27,300yen(26,000)




日本と欧州は、梅雨から夏にかけては別として、春・秋・冬の気温は、良く似ています。

植物の植生も、概ね落葉樹林帯なのは、西日本の一部や東日本も同じです。

着る衣服の質が似ていくのは、ごく当然のことだと思います。

(夏は、独自の視点が必要だと思いますが。。)


なので、欧州の衣服文化が、日本に影響を与え、日本の衣服文化が欧州に影響を与えていくのは、ごくごく自然なことでしょう。



筆者は、似たような気候と物価と文明を持つ欧州では、なぜ現地の素材で作った家や暮らしのシステムが今なお存続していて、日本では、それらがどんどん失われていったのか?

なんで、わけの分からないチープな新建材の家やプレハブやモルタルの家が、どんどん作られていったのか?ずっと考えてきたのですが、それは、また次回へ
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by guild-01 | 2013-10-22 16:49 | FASHIONの本質 | Comments(0)