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涼しいカットソー algorithm Tシャツが出来るまで

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8,400yen(8,000) 半袖(short sleeve)LADIES
algorithm project 001 / JPN
60% SUPIMA COTTON 40%LYOCELL
MADE IN JAPAN
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8,925yen(8,500) 半袖(long sleeve)LADIES
algorithm project 001 / JPN
60% SUPIMA COTTON 40%LYOCELL
MADE IN JAPAN



この記事は書いた当時のものを再掲載したものです。


このalgorithmプロジェクトは、デザインによって、社会の仕組みや日常の構造を(少しでも良い方向へ)変えようという意図を持っている。


このTシャツを作った理由

まず、最初の疑問点は、なぜ日本人が、夏でもスーツを着なければいけないのか?という素朴な疑問だった。

スーツというのは、イギリスで誕生したものだ。
イギリスは、夏でも涼しいのだ。

ちなみに、今日のロンドンの気温は、最高気温が20度。最低気温が11度である。

夏でもこんなに涼しいのだ。


この気温なら、スーツを着るのは、理にかなっている。
僕は、イギリス人だったら、「スーツ着るな」とか、とくに言わない。


しかし、昨年の吉祥寺の8月の平均気温は、最高気温35度。最低気温27度である。


誰がどう考えてもスーツを着る気温ではない。


なのに、なぜ多くの日本人は、来る日も来る日も、スーツ着て汗まみれになって満員電車で通勤しなければならないのか?

これは、本当に意味が分らない。

けれども、社会が、スーツを着るのが公式であるという社会常識を持っているために、意味不明で最悪な行為であっても、それがまかり通るのだ。


もちろん、最近は『クールビズ』などという言葉も出てきたように、それを変えようという風潮は出てきた。

僕が昔から言い続けてきた事が、僅かながら浸透してきた事は感じる。

しかしながら、『クールビズ』などという言葉が一人歩きし始めてから、僕がやろうとしていた事は、矮小化されてしまったようで、寂しいのも事実。

何か説明しようとすると『クールビズ』ですね。の一言で片付けられてしまうようになってしまったのだ。


『クールビズ』の何が一番問題なのか?というと、それが、とりあえず『ネクタイ』取りましょう。という運動になってしまった事だ。

説得力のあるデザインにならなかったのである。


で、何が起きたのか?というと、職場の規定では、『ネクタイ』外してもオーケーです。
でも、外回りの営業行く時は、ネクタイにジャケット必須です。
それが社会常識だから。

みたいな感じになってしまったのだ。


ようするに、身内の規定では、ネクタイ無しでもオーケーだけど、公式にはネクタイしてね。
ってこと。


これでは、営業の人達があまりにも可哀想である。

気温35度といえば、アスファルトやコンクリートの照り返しでは、40度を軽く超え、50度に達するところもあるだろう。

そんな中をスーツにネクタイして歩くなんて、自殺行為だ。


では、営業の人が皆そういう自殺行為をしているのか?というと、そうでもなく、賢い人は、車で移動するわけです。
車なら冷房をがんがんに効かす事が出来る。

エコカー補助金も出る。


しかし、ちょっと待てよ。
それでは、環境負担が前よりもむしろ増えているのではないのか??


というわけで、ここでもう一度、『クールビズ』の運動を考え直そうと思います。


僕達が開発したalgorithm project001のTシャツ(カットソー)というのは、Tシャツであるというのが、一つの答えでした。

というのも、『シャツ』というのは、襟が付いています。
なぜ付いているのか?というと、一つの目的は、『ジャケットの襟を汚さないため』
もう一つは、『ネクタイ』を締めることが出来るため。

です。

つまり、シャツの基本構造が、ジャケットを着るために出来ているのです。

これでは、『フォーマル=公式』のルールが変わるわけがありません。
ジャケットを着ない、あるいはネクタイを締めないというのが、『インフォーマル=非公式』のルール。
つまり、公式はネクタイ+ジャケットだけど、暗黙の了解でオーケー。
の領域になってしまうのです。



これでは、世界は変わることが出来ません。


僕が、algorithm project001で提出したかったのは、我々の『フォーマル=公式』のルールを変えようというものです。


ですから、僕達は、このTシャツを開発するのにあたって、あらゆる事を考えました。

まず、襟は無し。
なぜなら暑いから。

ジャケットを着る場面も想像するけれども、それは必要最低限にすべき。
襟が無いので、襟が汚れるため、必要最低限の着用になる。
つまり、当初の目的に合致しているということなのです。


そして、もう一つ重要な事は薄さです。
素材は薄ければ薄いほど涼しくなるわけですが、当然のことながら、薄くなればばるほど丈夫では無くなるわけですし、透けてしまいます。

透けてしまったら、一枚では着れなくなるので、これは、本末転倒ということになります。

なので、素材は、繰り返しの洗濯が出来るギリギリの薄さで、透けないギリギリの薄さという事が求められるのです。

もう一つ重要なことは、このTシャツが、スーツを着ていた時と同じように、仕事の場に相応しく見えるのか?ということです。
これは、このTシャツを開発するのにあたって一番重要な事でした。

仕事の場に相応しく見えなければ、それが受け入れられる可能性はゼロだからです。


しかしながら、この点に関しては、僕は確信を持っていました。
欧州の一流デザイナーは、ファッションやプロダクト、建築にしても、もの凄く綺麗なTシャツ(カットソー)にサマーウールのスラックスやスカートでクライアントと打ち合わせをする。というのが、ごく普通に見られていたからです。

もちろん、ジャケットを着る時もありますし、着ない時もある。
それが、クライアントとの打ち合わせでもオーケー。ということは、つまり、デザイン感度の高い人の中では、それが既に受け入れられているという事です。

これは、我々のやっている事が、受け入れられる可能性があるということを大いに示してくれます。


そして、重要だったのは、そのTシャツ(カットソー)が極めてよく出来ており、説得力があったことです。

その人達が仕事をしている時、誰もあいつはTシャツだからけしからん。という風に見えなかったわけです。
ものすごくちゃんとしていて、しかもカッコ良かった。

これなら、受け入れられるはずだ。
と、僕は思いました。


しかし、残念ながら、それはあまりにも高価だった。
一般の人が日常で使うことの出来る値段ではなかった。
1着3万円もするTシャツ(カットソー)を日常着れる人なんてほとんど居ません。

ということで、まず値段を三分の一にする事を目標に、開発はスタートしました。


長くなるので続きます。

by guild-01 | 2013-07-24 17:40 | algorithm