人間はなぜ服を着るようになったのか??
写真はRICK OWENS パリコレデビューの時のワンピース 希少品(contemporary creation+所蔵)
『人間はなぜ服を着るようになったのか??』
寒かったから??
筆者も、最初は、寒かったから毛皮を着たのではないか?と思っていたのだが、そうすると、そもそもなぜ人間に体毛が薄いのか?という理由か分らなくなってくる。
卵が先か鶏が先かという話だ。
むしろ、10万年の氷河期と1万年の間氷期を繰り返している現実を考えると、うーんという感じだ。
もともと人間の体毛は他の猿と同じように濃かったのではないか??
そしてある時、ハタと気付いたのである。
もしかすると、人間は狩猟の為に、動物の毛皮をまとうようになっていったのではないか?ということに。
獲物を狩るという行為において、二つの難しい問題がある。
一つは、匂い。もう一つは視覚である。
被捕食者は、相手の匂いと姿で敵を感知するのだ。
獲物を効率よく狩る為には、相手に気付かれないようにしなければならない。
その最も気付かれにくいのが、獲物と同じ匂いとカタチをした生物なのである。
特に氷河期における氷上や雪上での狩猟において、それが効果を発揮したのではないかと考えられる。
人間の進化における最も大きなステップ。
それは、狩猟対象と同じ格好をするという事だった。
これは、他の生物を凌駕する進化だった。
ここに、人間という動物が誕生した大きなカギが隠されていたのではないかと思う。
人類進化における最大のキーは、火と共に、服である。
人間は、様々な動物の毛皮をまとったり、植物をまとったり、泥を塗ることによって、擬態し、様々な獲物を獲得することに成功し、様々な環境に適応する事が出来たのだ。
狩猟する、つまり生きていく事を『服を着る』という行為を通じて実現させていったからこそ、人類の進化があったという事だ。
人間は、倒した獲物の肉や内蔵を食べてから、その獲物の毛皮をまとって再びハンティングするようになった。
それを繰り返しているうちに、人間の体毛が薄くなり、皮膚が弱くなっていったのではなかったのか?
写真はRICK OWENS パリコレデビューの時のレザーコート 希少品(contemporary creation+所蔵)
そして、その中のある種は、温暖期に暖かい海や川で、水中の獲物を穫る生活をした。
こちらも、体毛は必要が無い。
それゆえに、人間の体毛が薄くなっていったのではなかっただろうか?
という事である。
そして、人類が狩猟生活主体から農耕に移った段階で、擬態の意味が無くなっていった。
しかしながら、人間の皮膚は既に弱くなっていたので、所謂服が必要になっていったという事なのかもしれない。
『服とは、自分と似た嗜好を持つ人間を捜すための餌。」
というのも、獲物を探すということが、異性を探すという事に置き換わったと考えれば、人間が持つ根源的なファッションという行為が、擬態の中にある。という事が言えるのかもしれない。
ナルシシズムというのも又、より良く擬態出来た人が生き延びることが出来たのだと考えれば、人類にとってナルシシズム不可欠な要素を含んでいるという事が言えるのではないだろうか?
カラバッジョ ナルキッソス 1598-99 Oil on canvas, 110 x 92 cm ローマ国立美術館(パラッツォ・コルシーニ)
これは、私達が服を着るのは、保温や保護の為だけではなく、そもそも自分と違ったものになりきることで、生きていく事が出来たということだ。
つまり、人間には、根源的に『変身願望』があり、この『変身願望』は、人間の本質の大きな一つであるという事なのだ。
なので、人間がコスプレしたり、ドラマや舞台で誰かを演じてみたり(スパイや工作員は困るけど。。)、何かの制服に憧れたりするというのは、極めて本能的な快楽だったのだ。
そして、『魔法使いサリー』や『クリーミィーマミ』や『セーラームーン』『マドカマギカ』といった変身ものアニメというのが、子供にとって根源的な快楽なのは、この辺りに根源的な原因がありそうである。
服を作る、デザインするという事に対して、機能的にアプローチしていくと、究極は登山ウェアのようなものになっていく。
しかし、これはある種デザインの袋小路だ。(登山ウェアそのものを否定するつもりは無いけれど。。)
しかし、本質的に、私達がファッションに求めているのは、機能だけでは無い。
むしろ、機能というのは、後から付いてきたものである。
私達は、もっと本能的に、私と違う私になりたいと思っている。
これこそが、『ファッション』の一つの大きなカギなのではないだろうか?
それは、人間が人間として歩き出したと同じくらい、本質的な事なのではないだろうか。
by guild-01 | 2013-05-14 17:24 | FASHIONの本質