草食動物としての生け花 と ファッションの本質について
草食動物としての生け花 と ファッションの本質について
店頭で花を生けるようになってから約一月。
街で、生け花について聞かれることが多くなった。
自分で言うのも何なのですが、筆者には生け花の才能があるようだ。
花なんて、まともに生けた事など今まで無かったのだが、ほぼ最初から、良く出来ていた。
不思議だと思ったが、何のことは無い、父親が植木屋で、小さい頃から見て育ったから、木のどこを切れば良いのか?というのが、なぜか自然に分かってしまうのだった。
小さい頃から両親に連れられて、自然界の美しい庭のような場所を山歩きしていたのも、脳に刷り込まれているに違いない。
そして、そもそも生け花というのは、『草食動物の生き方』を考える行為なのだという事にも気付きました。
だからこそ出来るのかもしれない。
草食動物は、草花を食べます。
けれど、草花が無くなってしまったら、自身が飢えて死んでしまいます。
そこで、植物が無くならないように、植物が増えるように食べるのです。
食べた場所から、再び新芽が伸びる。
身体についた種や糞の中の種は、栄養と共に遠くへ運ばれ、そこで子孫を増やす。
土地が肥える。
緑が増える
気候が良くなる。
私たちが、花が美しいと思うのも、植物にとっては、遠くの場所で切り花になっても受粉するためなのかもしれない。
そう考えると、様々見えてくるのです。
草食動物としての生きる姿が。。
馬鹿という言葉がありますが、鹿は、植物を根こそぎ食べてしまいます。
木の皮まで食べてしまいます。
なので、辺り一面が毒草しかないということになってしまったりする。
で、森が無くなるので崖崩れや山崩れすら起きてしまったりする。
そうなると、鹿は絶滅近くまで激減し、自然が回復する頃、また鹿が増えたりということもあります。
なので、天敵が居ない鹿は、絶滅寸前まで減ったりします。
なんか、これ、国際金融マフィアや横暴な多国籍資本など、『全部俺のもの勢力』に聞かせたい話です。
そうではなく、そうならないためには、自分が生きながら、相手も活かす、相手の利益になってもらうという生き方なのです。
これが、草食動物の生き方の基本。
共存するということですね、生態系を維持する。
生活圏を保持する。
生け花も、そうしたことを考えながらやります。
そして、生け花のバランスとファッションのコーディネートというのは、非常に良く似ていることにも気付きました。
バランスと色合わせ、質感を合わせるということなんですね。
一緒なのだな、と思いました。
生け花は、直ぐに表情が変わってしまう。
木の芽出しから濃くなっていくさま、花が咲いて散るさま
移ろい行くからこそ、日々あれこれ考えるようになる。
このところ、生け花に合わせて店頭のディスプレイを考えているのですが、それは、ファッション(お洒落)というもの の 本質を考えたい、表現したいからでもあります。
服を着るという行為は、現在ある自然(風景)に対して、外敵から身を守れる色や質感を身につける(だから保護色が一番落ち着くのです)と同時に、異性や仲間を惹き付けるために目立つという 相反した 要求を支えるものでもあります。
そうした時に、最もヒントになるのが、花や木々なのです。
花や木々を真剣に観察していると、季節感というもの、光や色の移り変わりにものすごく敏感になります。
それらをどう表現するのか?
その花の質感を服で表現するにはどうすれば良いのか??
その木々の緑の勢いを表現するには、どうすれば良いのか??
空の色、光の加減は??
この部分が、欧州の優れたデザイナーやファクトリー、そして生地メーカーが持っている真の強みでもあるのです。
彼らは、きちんと観察して、きちんとした答えを出している。
生地的にも立体としても。
それは、自然の色やカタチ、空の色や水の色、土の色などをしっかり観察し、捉えているから。
それを、そのまま表現する技術と文化があるからです。
かつての日本の着物文化というものも、そうしたものであったと筆者は思います。
カタチをフラットにして、生地や色の組み合わせで表現していくのが着物文化です。
それに対して、人に合わせた立体的な表現というのもあります。
これは、主に西洋で先に発達しました。
先に発達したわけですから、日本で発達していけないということはありません。
日本のデザイナーも、そのあたりが出来る人が徐々に増えては来ましたが、まだまだ少数派です。
特に日本の『ナチュラル系』と呼ばれるジャンルの人たちに、顕著に見られることが多いのですが、素材感を活かすことを考えるのは良いのですが、そこから先の観察が足りていないと感じることが多いです。
色や立体についても。。
自然観察(対象観察)による、生地や色彩がディテールの表現が出来るかどうか?
それが、人に対して効果(作用)を生むか?
生み続けるよううな、カタチや色や表現であるのか?
一流のデザイナーたちは、考え抜いています。
そして、微調整しています。
当店でも、その部分が若干足りないと思った場合には、カタチや色や質感のバランスを、ウォッシュをかけたり、スチームをかけたり、色を入れたり、カタチを整えたりして微調整しています。
服を着る人たちも、是非そうしたものを感じていただけたらな、と思います。
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by guild-01 | 2014-04-23 21:43 | FASHIONの本質