価値を見直し、歴史を見つめなおし、もっと良いもの・空間を作りたい。
店内の改装をやりながら思ったこと。その3
価値を見直し、歴史を見つめなおし、もっと良いもの・空間を作りたい。

水菜って、花が咲くと菜の花なんですね!^ ^
以前、オートクチュールやっているデザイナーの実家の蔵を取り壊す時に、いただいた長持(昔の衣装ケースにあたるもの)を、なんとか再利用しようと思って、自分でペンキを塗った。
オフ白のペンキは、DIYのお店で買って塗り始めたのだが、塗っている途中で、「これは、木の良さが全く消えている上に、歴史が全く感じられない」ことに気付いた。
所謂失敗である。
そんなわけで、途中でペンキを塗るのを止めてみた。
すると、所謂フレンチシャビー(フランスの田舎風)になった。
長持がフランス田舎風に変身するとはオドロキだが、フランスの塗料を使っているから、当たり前といえば当たり前ではある。
これはこれで、それなりの味わいがあるのだが、自分がやりたい事とはかけ離れていた。
その後、古民家や日本の古い建築について、様々勉強してみた。
すると、様々なことが分かってきた。
その知識や経験を動員して、今回もう一度日本の古い桐タンスの再生に挑戦してみた。
DIYだが、凄まじく勉強した後のDIYなので、単純なDIYでは無い。
それは、日本の建築や衣服や家具や食料生産と料理の複合した歴史を知るという作業を通じて出来上がったDIYなのです。
なので、ミッドセンチュリーモダンな店の作りと調和が取れるようになった。
それは、おそらく和洋折衷では無いものです。
別ブログで、筆者は、日本の代表的な洋館建築を見てまわったのだが、たとえば、岩崎弥太郎邸というのは、おどろおどろしい和洋折衷邸宅である。
西洋と東洋が消化されずにぶつかり合い、摩訶不思議な空間を生んでいる。
正直、あまり好きではない。
おそらく、日本が戦争に向かっていったというのは、そうした消化しきれない矛盾点が吹き出した結果なのではないか?という気がしたものである。
洋室と和室の両方を備えたところもあった。所謂和洋折衷である。
筆者がやりたかったのは、西洋建築、西洋の衣服や料理などの歴史を全て理解した上で、東洋のそうした歴史と構造の上に成り立ってきたものもまた理解して見つめ直して、現代の生活に合わせて作り替えてさらに良いものにしようという作業です。
西洋の完全否定とか、東洋・日本の完全否定とかではなく(そういう人増えてます)、双方の成り立ちの違いを理解して、両者の悪いところ、問題点も知りつつ、その良い部分を取り出して、もっと良いものを作ろうとすることです。
たとえていうと、フランス料理を学んだ日本人が、フランス料理の中に、自分達が築いてきた素晴らしい食材や技法を使ってさらに進化させるみたいなことです。
実際に筆者は料理も作るのですが、最近はフランス料理の技法に、日本伝統の『みりん』や『日本酒』、豆乳、味噌、それに柚子やふきのとうなども使って新しい味に挑戦しています。
それらは、伝統的なフランス料理よりも、さらに美味しいというのが筆者の率直な意見です。
それほど優秀な食材が日本にはある。
なぜあるのかというと、それだけ奥深い気象条件と、それに対応して育ててきた文化があるからです。
そういうものは、必ずしも和食のジャンルに限定する必要は無いのです。
同様に、日本には優れた家屋や陶器・磁器、それに木や漆を使った様々なものがあります。
それらは、和のものととらえがちですが、それらをフローリングの洋室に組み入れて、ワクワクドキドキする空間に変える方法論を模索しました。
それらは単なる古くさいものではなく、私達の現在を作ってきた、支えてきた一つのカタチだからです。
どうやって、現代に取り入れるのか?
様々考えてきましたが、結果的に、筆者が思い描くような、歴史的な重層性が、空間の中に出てきたと思います。
それは、単なるミッドセンチュリーモダンの箱よりも、もっと生命力をもった強い空間に変わってきているのを感じます。
改装はまだ道半ばですが、現在の室内も筆者はかなり気に入っています。
最近居心地が良過ぎて、夜遅くまで店内で作業することが多くなってきてしまいました。
で、この居心地の良さは何かに似ているなと思ったのですが、これって、山の中に似ているのではないか?という気がしました。
夜の店内は、春、山の中を探索している時に、花や新緑を見付け、春の訪れをそこかしこに感じるような、そんな多様性があると思います。
是非体験してみてください。

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by guild-01 | 2017-03-25 20:34











