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東京コレクションウィーク 本日は当店でもおなじみのMILFOILの展示会に行ってきました。

ただいま、東京コレクションウィークです。

いろいろ回っていますが、本日は当店でもおなじみのMILFOILの展示会に行ってきました。


いろいろ話します。


井上氏

「また機屋(布を織る職業のこと)が2軒生産を止めてしまって、もうこの生地織れないので廃盤になります。こちらのは在庫限りで、後のは継続して生産が可能です。」


という話から始まりました。。



本当に、誰かが倒れたりすると、それで産業がストップしてしまうような、そんな状況なのです。


日本生産が2.8%以下というのは、本当にそんな状況です。


でも、危機感を持っているのは、多分ほとんど我々のような、国内アパレルの生産と販売に携わっている人だけで、普通の人達は、そんなことに全く気付いていないんだと思うのです。


たとえば、パンツの裾上げすると1000円くらい工賃かかると思うのですが、1000円でパンツ売ってるわけですから。。


「あら、安いわね」で、それ以上は普通考えません。


そういう服って、大体パンツ一本縫うのに、工賃が50円以下です。

多分、30円とかで縫ってます。

服作りって、工場で大量生産みたいに考えがちですけど、縫うのって基本手作業がほとんどです。


それで、パンツ1本縫って、工賃30円とか


張り合うとか、努力がとかいう問題では、もはや全くありません。

だって、日本で誰もパンツ一本50円で縫わないでしょう。


筆者

「考えるのが面倒くさいからユニクロしか着ない」という人、かなり居ると思います。昔コムデギャルソン着てたけど、今ユニクロみたいな人居ます。そういえば、吉祥寺の東急百貨店にニトリが入ったんですよ」


井上氏

「地方の百貨店なんか、皆そんな感じです。5階から7階が、ユニクロとGUとGAPとシマムラなんかが入っていて、あとニトリと電気屋。そんなのばっかりです。」


筆者

「全国隅々まで、ほとんど同じ店が入ってますよね。」


井上氏

「もう、一部上場の企業しか生き残らないような状況になってます。アパレルは」


筆者

「株主の利益になるための政策を延々と続けてきた結果、こうなったわけですよね。現在では、日本企業の株式を持っているのが、1位がGPIF(国民年金基金)、2位がブラックロック(米)、3位が日銀です。日銀もGPIFもユニクロのような企業しか買いませんから、日本国内で生産しない企業の株式を我々の年金で買い進めて、利益を出さないと年金が減るみたいな政策を進めているわけです(苦笑)。日銀にしても、延々と円を刷りまくって、その金でユニクロ株を買うっていう、株式が上がったって言ってますけど、これ完全にバブルですよね。バブル弾けるとどうなるんだろう?一体」


井上氏

「ウォール街が出来てから、ずっとそんなことを続けてきた感じですよね。それで株主は、皆同じみたいな。。」



1990年に日本生産の服は50%あったわけですが、現在では2.8%以下です。


そんな中、日本で服作りをして、それを売っていくって、相当大変です。

完全に絶滅危惧種です。衣服は衣食住というように、生活必需品なのに。。


だからこそレベルが上がったってことも、もちろんありますけどね。


それだけ、皆努力してきたわけですから。



井上氏

「うちの製品は、縫い目が伸びるのが特徴なんですよ。その方が着やすいんです。でも、普通はそんなことしない。大体かっちり作ってしまう。そうすると、生地に馴染まなくなるんです。生地って伸びるでしょう?だとしたら、縫い目も伸びてあげないと生地がうまく馴染まないのです。誰もやってないんですけど、そんな事ばかりやってます。」


*注 MILFOILの服は、縫製の糸が全てオリジナルのオーガニックコットン製で、ロック部分が、あまく縫われていて伸びるのです。

それに、補強のテープまで全てオリジナルのオーガニックコットン製という、半端ないこだわり

だから、着心地が異常に良いのです。

普通の服のロックは、ポリエステル糸で、もっとかっちり縫われています


筆者

「日本の普通の生産工場に出すと、大体ピシッとアイロンかけて、ビタッと縫われますよね。どうも、そういうのが正しいと身に付いているらしいんです。でも、そういう風に縫ってしまうと直線的にカクカクなってしまう。身体にうまく馴染まないから違和感が出てしまうんですよ。服をデザインして生産してもらうと、大体そこで最初の壁にぶつかりますよね。それで、生産工場とのやりとりが、これまた大変なわけですけれども」


井上氏

「身体は曲線で出来ているので、全部ビシッと縫ってしまうと、身体にうまく沿わなくなってしまうんです。」



筆者は、展示会でさまざま回っているのですが、ハンガーにかっかった状態で『良いな』と思っても、着ると「うーん残念」となる場合がすごく多いんです。一番多いのが、肩の馴染み感で、肩の馴染み感がイマイチな服って着たくなくなるんです。疲れてしまう。

着て、着心地が良いっていうのは、肩の馴染み感が良いということと、腕を通した時の心地よさみたいなのもあります。


MILFOILの服は、多分、写真で見てもワクワクはしないと思うのですが、着てると段々、こればっかり着てるようになります。


筆者

「下着とか、ヤバいですよね。本当に着出すと、これしか着れなくなってきます。」


井上氏

「そういう方多いです」


つづく


by guild-01 | 2017-10-27 23:25 | 展示会